魔法の言葉

 

やって見せ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」  (山本五十六)

 


■教育とはほめることである。ほめていればそのようになっていく。これをピグマリオン効果という。

■保護者懇談では、親の前では子をほめよ。出来が悪くても「大器晩成型」などと言うほうがよい。そうすれば家に帰って「今日学校で先生があなたのことをこんなふうに言っていたわよ」と子をほめる。それはやがてピグマリオン効果となって良い結果を生みだす。また、「あの先生は子どものことをよく見ている」という保護者の信頼ともなる。

■できる生徒はみんながほめる。プロの教師たるもの、誰もほめない生徒のよいところを「見つけ出して」ほめよ。それほど良くなくてもほめられるとうれしいものだ。美しいものは最初からそこにあるのではない。

■本人の耳に確実に入るように「間接的に」ほめるとぐっと効果があがる。


■学校は病院とは違う。悪いところを治すのではなく、良いものをさらに大きく強くするところである。(と私は信じている)

 


 私自身の体験でいえば、今までほめられた中で印象に残っているものが3つある。
 一つは小学生のとき。柿の木の絵を描いたところ父親が「わー、おいしそう。すごくうまく描けている」ってほめてくれた。それ以来、絵を描くことが好きになった。

 もう一つは高校1年生のとき。所属する放送部でいい仕事をして、先生から「あの原稿、南が書いたのか」と 、たった一言ほめられた。その言葉はその後の自分を支える自信となった。

 三つ目は、29歳のとき所属していたスキークラブでの体験である。なかなかウェーデルン(小回り)ができなくて悩んでいたとき、たまたま自分でもびっくりするくらいうまくできたことがあった。それを見ていたクラブの指導員の先生から「南さん、うまくなったね」と一言いわれた。うれしかった。いまでもその時のことを思い出すと、ジワーとうれしさがこみあげてくる。

 

 効果的にほめることは決して易しくはない。ほめ言葉を安売りしてはいけないし、時には厳しさも必要である。

 しかし、本人が一生懸命やってそれがうまくいったときは、タイミングを外さないでほめてやりたい。どんな些細なことでも「認められた」という自信はその後の人生の大きな財産になる。

 

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